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「初冠雪」

「初冠雪」171120(月)薄曇り ほぼ無風
まず最初に・・・。
曇りの日が続いていますが、湯の山の山頂付近に白い雪が輝いていました。
初冠雪です。
IMG_6005.jpg

これで天気が良いと気持ちももっと晴れますが、それでも季節の変わり目を見たような気がして、爽やかさを感じます。
仕事が忙しかったのか、長い間連絡取りたくても取りようがなかった息子が昨晩帰宅しました。
夏の台風の時など、冠水のニュースが流れる中、
「うちの息子、大丈夫かな?」
自分たちの年齢のことは棚に上げて、心配などをするばかりで不安を抱えていました。
やがて夏が過ぎ秋も過ぎ冬がやって来そうになって、ふらりと帰省してきたのです。
「・・・」
ただいまぐらい言っても良さそうなのに、相変わらず玄関からのっそりと顔を現す。
「おう、やっと帰ってきたか。お帰り」
前日から長男と連絡を取っていたらしい。
「ただいま」
「お帰り。何食べる? 肉?刺身?」
細君の目尻がいつもより下がる。
「とりあえずハムかウィンナーかなんかない?」
酒のつまみのようなものが欲しいらしい。
いそいそと晩御飯の支度を始める妻。
久しぶりににぎやかな夕餉になりました。
翌日、店は定休日です。
細君は、数年ぶりに友人と昼食会をするらしい。
共に子育てをした戦友のような仲で、ほぼ40年来の付き合いになる。
今日は特にゆっくりと一日過ごして欲しい。
さて、ここからは小僧の話題になります。
小僧と書いて知る人ぞ知られる「こそう」と読む。
小僧とは第二人称の自分のことで、ブログの中での呼び名です。

エッセイ【空白の時間】
小僧はふらりと一人町へ出かけた。
今日は細君が友人と会う。たまには一人遊びもいいかもしれない。
さてと・・・、どこにしよう? 
かといって、だらりと時間を過ごしたり遊んでいる暇などはない。
お蔭さまというか、一人で時間を独占する日は実に少ない。
老人夫婦だけの生活は、若者から見ると退屈に見えるかもしれないが、実は何かと忙しい。
何もしなくてもいいように見えるが、むしろ何もしないことにしてしまえば、それなりに済んでしまうのが老人に与えられる時間。
若者から見るとそれがとても自由に見えるらしい。
今や息子たちは、いわば社会のど真ん中で揉まれながら活躍する中堅層で、社内の後輩達は増え続き、上司の目は厳しくなり、大変そうにも見えるが勇ましくも見える。
ある日息子の何気ない一言、
「お父さんたちは毎日日曜日でうらやましい」
唐突な一声に思わず、
「はぁ?」
そういえば、小僧(こそう)も若い時にはそう思ったことがあったことを思い出し、思わず大笑いした。
毎日日曜日?
とんでもない。
毎日何かの雑用で追われている。
雑用の内容まで明記する気はないが、雑用とは生活に必要な仕事のことで、例えば庭の草取りなど、中堅層の若者たちと比較すると質とか重みなどの違いはあるが、やっていることはさほど変わりはない。
責任もなく、例え何もしなくとも誰かに迷惑などはかけないとしても、生活環境は上質になる。
これが老人の仕事だと思う。
「で、今日は何を?」
「久しぶりに、今日は執筆活動でしょう」
といってもなかなか小説の内容は前に進まない。

気合を入れて書かなければと、出かけたのはSコーヒー店。
紅葉の進んだ並木道を眺めながら、本通りの高架の手前を左折して、ホテルの下にある地下駐車場に入っていった。
先に駐車を済ませた母親に続いて、幼児らしき子供二人が車から降りてきた。
余程嬉しいのか、スキップしながら母親を追っていた。きっと何か買ってもらえるに違いない。
最近S店は改装されて、パソコンの使えるカウンター席がすっかり少くなってしまった。
空いていたお気に入りの席。
窓際のカウンター席に座る。
席の目の前は全面ガラスで見通しが良い。
場所によっては見通しが良すぎて戸惑う面もあるが、そこを少しずらすと半分壁で隠れ、半分は窓から横断歩道が見える。
物書きといえども、ところてんのように物語が出てくるのではなく、時には一気に書き進んだり、たまには構想などして物思いに耽る。そんな時窓越しに横断歩道の人の往来を眺める。
渋谷の雑踏とまでもいかないが、途切れることもなく人が行き来する。
老人から子供まで、その様子は様々で飽きることがない。時には窓越しにバッグを片手にチラシを配る女性が立つこともある。
余計なことだが、バッグの中のチラシの量や景品らしき在庫の残り具合などを無意識に眺めることもある。
構想に行き詰まり、目の前にあった窓枠のステンレスの細長い縁を眺めた。
鏡のように磨かれた細い縦長の窓枠に、ベビーカーと一体になった買い物カートを揺らしながらくつろぐ若い母親の姿が映っていた。
空白の時間を埋めるのにためらいや躊躇などは生じない。
ところで、このまま思うがままに書き続けていいのだろうか?
他に何かするべきことがあるのではないだろうか? 
問いたださなくても分かっている。気づかない振りをしているだけだ。
黙ってカフェのカウンターに座り続けた。
そろそろ次のことにかかろう。
そうだ、いったんここで時間を止め、場所を変えなければ・・・。
出来れば明日に繋ぎたいと思う。
<続>
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